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【eboard更新情報】ステップアップテストを作成しました!

5/14@東京にて、eboard初の公開研修会「ICT を活用した学び の場づくり研修会ICT を活用した学び の場づくり研修会」を開催します。

 

ご無沙汰の記事になってしまいましたが、学習サイトeboard についての更新情報をこちらでお知らせしたいと思います。それが、新しいツール「ステップアップテスト」です!

 

私自身の塾や学習支援現場、そして eboardをご利用頂く経験の中で、常に課題になっていたのが「どこまでさかのぼればいいか」ということ。日々現場で出会う子ども達の多くが、既習内容に穴があり、学校の授業から大きく遅れてしまっています。さかのぼって復習していく必要があるのですが、各生徒のばらつきも大きく、関わるようになってしばらくしないと、その子の学力が見えづらいところもあります。

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そこで、以前から検討を進めていたのが、「どこまでさかのぼればいいか」を診断できるような「診断テスト」。かつ、同じテストを学習後に受けることで、さかのぼって学習した内容の確認も測ることができればと考えていました。それが、今回作成した「ステップアップテスト」です。

 

模試の復習教材など、いろいろな教材によく付属しているものではあるのですが、eboardのステップアップテストの特徴をまとめました。

① 復習・学び直し、基礎内容に特化した診断

例えば、中学数学のステップアップテストでは、小学校の内容も含んでおり、テストを受けることで、各単元のできる・できないが分かります。偏差値やランクなど、他と比較するのではなく、1人1人が「どこまでさかのぼればいいか」に焦点をおいたツールです。勉強が苦手な子を想定しており、取り扱う問題も基礎的なもの、心理的に受験もしやすいよう、できる限り問題数をおさえました。

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▲ 中学数学のステップアップテスト(一部)

 

② 即日診断、即日活用

採点の手間は少しかかってしまいますが(できる限り、子ども達自身でも採点・診断ができるようにしています)、解答を含めて提供させて頂き、eboardご活用の現場でその日のうちに、受験から採点、どこから復習を始めるかという診断までできるようにしました。一般的な診断教材では、受験日から返却まで時間がかかってしまうことも多く、うまく結果を学習に活かせないこともありました。

また、診断の結果は、eboardの教科・単元とひもづいているので、すぐに学習をスタートすることができます。

 

③ 自動・デジタルではなく、ふりかえることに力点を

当初は eboardサイト内に、診断機能を作成する予定でした。サイト内でテストを受けて、そのまま自動で復習すべき単元がレコメンドされる。実装にまで手をかけたのですが、いくつかの理由でストップ。また紙で作ってみて、やはり(少なくとも現段階では)紙のテストでよかったという結論に至りました。理由としては、

・eboardで学習を始める前のシステムに慣れない段階では、正確な学力の測定がより難しくなる。

・(特に勉強が苦手な子ほど)自動化が進めば進むほど、「自分が何ができていないか」「自分が何が苦手か 」を意識しなくなる(あくまで、eboard内での経験値ベース)。

→ 短期的には できていないところの解消ができても、とりあえず出た問題をやるだけになってしまい、長期的な学力や「できなくなった」原因の解消にはつながらないのでは?

・どこを復習するかを自分で(または、先生や支援者の方と)考えて決めることで、自分の苦手を知るだけでなく、ふりかえる習慣や目標策定・達成できる機会をつくることができる。

→ そのためにも、問題の正誤だけでなく、解答結果の判断には「正解・自信なし」を加味しました。常に現場にいると感じるのが、「この子は本当に理解・定着できているのか」問題。ある日にできたことが、翌日や次の週、まして数ヶ月後できてないことは、日常茶飯事。確かな定着のためにも、また本人の学習意欲を刺激するためにも、自分や人とふりかえって「これはできるようになった!」と感じられる瞬間が必要です。単純な正誤ではなく、定期的なステップアップテストのタイミングで、先生や支援者の方と「本当に身についたかな?」とふりかえる時間を作って頂けたらと考えています。

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▲ テストの結果から 復習範囲を決めていくための ステップアップシート。

 

ステップアップテスト・シートは、現在はeboardをご活用頂いている学校やNPO、塾などの教育現場限定で提供させて頂いています。「クラス管理」の画面から、テキスト教材・ツール > サポートツール からダウンロードできます。eboardの教育現場でのご活用については、https://eboard.zendesk.com/hc/ja/requests/new からお問い合わせください。

 

5/14@東京にて、ステップアップテスト・シートの活用法も含めた eboard初の公開研修会「ICT を活用した学び の場づくり研修会ICT を活用した学び の場づくり研修会」を開催します。

ICTで学力は上がるのか?

現在クラウドファンディングに挑戦中!応援のほど、宜しくお願い致します。

 今週は、九州と関西をいったり来たりの一週間でした。東京もですが、町はクリスマスですね。個人的には、博多駅界隈のイルミネーションが、立地面等も鑑みて、一番良かったです。

 

ICTでテストの点数は上がるのか?

 さて、今回のテーマは「ICTで学力は上がるのか?」。全国色々とICTを導入されている自治体・教育委員会、学校に伺うと、ここがテーマになるようです。私も「eboardやって、学力はどうなの?」って質問されます。そして、これはごく普通のご家庭でも(「タブレットで学力は上がるのかしら?」という問い)。

 ここでは、「学力の定義は何ですか?」とか「いや、その問い自体が良くないのだよ…」という話は(これはとても大切な話ですが)置いておいて

「学力=テストの点数」

として考えたいと思います(不本意ではありますが)。自治体・教育委員会、学校で、「ICTで学力は上がるのか?」と問われたときには、ほぼ100%これを言われています… 今までは、「それは何をねらいとして、どのように使うか、どれくらい取り組むか次第ですね」と答えてきたんですが(それが正しいと思っています)、微妙な反応をされるケースが多い(「いやぁ、アゲアゲですよ!もう毎日1時間やったA校では、学力テストの平均点が20点あがりましたよ!」とか、汎用性のなさそうな、無責任なことを言えばいいんでしょうか…「それなら使いましょう」という人は、最初から取り組みの意義や授業のねらいを見直したほうがいいと思いますよ!)。

 

 とはいえ、きちんと伝えねばなので、最近図を用意しました。これが一面的であるにせよ、教育委員会や現場の方、また企業の方にもわかりやすいと好評です(でも、一面的で直線的なので、この図の問題点も考えてほしい)。

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意欲の壁、さかのぼりの壁、学習量・対策効率の壁

 この図は、学力と意欲の段階を階段状にしてかいたものです。

が実際は、こんなにきれいな図にはなりませんし、特に、学習意欲や学習方法(スキル)は非常にばらつきがあり、いつも直線的な獲得ができるものではないと思います。

擬似的な理解を得るための、また人やICTの役割を整理するためのモデル図と思ってください。

① 低意欲層ー意欲の壁

 学習に対する意欲や肯定感が著しく低く、本物の(authenticな)学びの経験が乏しい。教科の指導力以前に、安心して話せる場づくりや関係づくり、また性格や特性の把握が必要なことが多いです。あくまでこれまでの学習経験から、一方的な指導が苦手な子が多く、コミュニケーションをとりながら、進めていくことで学び始められる子が多いと思います。

② 戻り学習層ーさかのぼりの壁

 授業に参加する、言われた指示通りに学ぶなどは、可能な範囲でできるものの、学校での既習内容にモレが多く、学校の進度(そんなものは なくせ!というのは置いておいて)についていけない層。また、そうしたモレや遅れが発生した要因として、学習方法に課題を抱えている場合が多い。それぞれの子によって差はあれど、個別指導塾や学習支援に来ている子で、数として一番多いなと感じる層です。「〇〇やってみようか」と言って働きかけると、とりあえずは手をつけられるイメージ。

 この層の子が、次の「点数が伸びやすい層」に行くには「さかのぼりの壁」を超える必要があります。ここでは、学校の授業に追いつけるように、A)既習範囲の穴を埋めていくと同時に、B)今まで消化不良を起こしてしまっていた学習を、きちんと消化吸収できる学習方法や習慣に改善していく必要があります。A)には意識が行くんですが、B)は見落としがち。B)ができてないと、進度とのイタチごっこになっちゃうし、そもそもペースが悪くて、Aの穴が埋まらないという事態に…

③ 点数が伸びやすい層ー学習量・対策効率の壁

 既習内容の定着が一定程度図られており、学習方法も身につけられている層。ってことは、やったら点数上がるんですね!ここまで来て初めて、「学力上がるの?」に体系的に応えられるようになってきます。

 中学3年部活が終わるまで、同じくらいの点数で変わらなかった2人の子が、同じように頑張っても点数が伸びるケースと伸びないケース、よくあります。理由は本当に細かく見ていくと様々ですが、「既習内容がしっかり身についていたか」「学習方法が身についているか」がやはり大きなポイントかと。テストの点数は直前に対策すれば伸びてしまうんですが、そうして学習に穴を空けてきたり、学習方法が身についてないと、量を増やした時にも差が出てしまいます。

 さらに高得点を、定期テストや入試でとろうと思うと、「学習量・対策効率の壁」を超える必要があります。85点以上くらいでしょうか。じゃあ、実際にここでは自分なら何やるか(塾で何やってたか)というと、これまでの作問する先生の定期テスト過去問をもらい、生徒に先生が授業で強調していたポイントをヒアリングします。何度も演習をさせつつ、出題傾向を見ながら、先生別対策をします。それでしっかり詰められる子は、100点に近づけます(そういうテストじゃない先生もいます!!)。意味あるのかなー。

④ その上の層

 これは、私はあまり関わりが薄く…笑 ただ、量質ともに良い学習が身についているのに、それ以上「狭義の学力=テストの点数」を伸ばさせて、これから何の役に立つのやらとも…それはまた別の話。変な応用とか、重箱すみすみとかせず、進度をどんどん進めるとかは、良いかと!

 

eboard(ICT)の役割

それでは、ここでのeboardの役割は何かというと、ズバリ

1つ目は「(学習内容と学習方法の)個別化」 です。

 これだけ同じクラスや集団でも学力や意欲に違いがある中で、同じ内容を同じ方法で、一斉に学ぶことは、はっきり言って無理があります。なので、中学・高校に行って一斉指導の授業に行くと、一定割合の子が「難しくてついていけない」し、「簡単すぎて退屈」しています。自分が授業してもそうしますが、一斉指導でマスをねらうと(できるだけ多くの子の期待に応えようとすると)だいたい「点数が伸びやすい層の下限」をメインに授業します。

 それを「自分のレベルやペースで、自分のやり方で学べる」ように、低コストでやってしまえるのが、「ICTを活用した個別学習」です。これ、自分はプリント教材でやったことがあるのですが、紙でやると全生徒の進度とレベルを想定し、あらかじめ予備分も含めて、プリント印刷しないといけないんですよ…まぁ続かないし、広がりはないです。環境破壊。

 そして大事なのは「学習方法」も個別化すること。ある子は、動画で学びやすい子もいれば、テキストの方が認知的に理解しやすい子もいる。試行錯誤的に学ぶ子もいれば、きちんとインプットした上で学びたい子もいる。コミュケーションとりながら学びたい子もいれば、黙々とやりたい子もいる。それを尊重することです。そうすることで、いろんな方法を試しながら、自分が効果的に学べる方法を身につけていく必要があります

 なので、学習フローが1つに制約された教材や、他の教材の使用を認めないやり方は、その理由だけでよくないです。皆同一学習方法至上主義なら別ですが(こわいこわい)。「うちの教材がベストで、あらゆるものをカバーしているんで」とかいう話を信じちゃいけんです(それを決めるのは、あんたじゃなくて学習者だよ)。

 

そして、2つ目は「支援・指導(層と内容)の変化」です。

 「(子ども達が)学習する場所をつくろう」となると、なぜか、みなさん「でも、どうやって教えるの?」ってなるんです(まぁでもそうですよね)。「教える=学習指導・学習支援」が、おそらくこれまでの教育経験の中で、できあがってるんです。

 でも、人や教材、指導方法など準備大変ですよね。。。めちゃコストかけないと、例え「マンツーマン指導環境」でも、個別化することできないです。かつ、「マンツーマン」でやると「自立的に学ぶ方法」は、指導者がかなり意識してないと身につかないケースが多い(そのレベルの指導者育てるの大変)。教えるの、楽しいもん。生徒も楽しそうだし。中毒性あり。

 そこ(教える)を、ICTに(委ねられるところは)ゆだねましょう、というのが「支援内容の変化」です。教えるのではなく「学習者が学ぶこと」を支援する。そこに時間と労力を割くんです。かつそれは属人化しにくいので、仕組みとして現場に残るものになります。と同時に、自立的に学習ができるようになった層をICTに部分的に委ねつつ、最もサポートが必要な層に意欲面や方法面でのサポートを行います。

 よく「動画なんて、うちの子らは見ませんよ。やる子はやるでしょうけど」という方が」(なぜかドヤ顔で)いらっしゃるんですが、そこを「学習者が学べる」ように持っていくのが、あなたの仕事でしょう(もちろんそういう子がいるのは、重々承知していますが、全国様々な現場でやってますよ、と)。

べったりサポートし続けて、その子に永遠に伴走できますか?

その子が「自分で学ぶ力」を育てましょう。eboardが合えば使えばいいし、合わなきゃ別の教材使いましょう。ただし、常に教材は万能ではないので、同時にサポートの仕方もよくしましょう。

 

eboardの特徴

 以上、このブログを書いていると、どうしても気分が高まってしまい、ブロガーにはなれないなと思うのですが、上記のような中で、eboardの1番の特徴は、

低意欲層(上位)〜戻り学習層〜点数伸びやすい層(下位)が対象

であることです。

 中心は「戻り学習」です。つまり、勉強が苦手で、あまり学習方法や習慣も身についてない子が「学びやすい」教材を目指しています。それは、動画の内容や問題のレベル、学習のフローなど様々な点がありますが、同時に「どうeboardを使うのか」「どうサポートや場を作っていくのか」というノウハウに力を入れています。

 特に「戻り学習」層が個別化していくには、「自分でつまずきを解消できるか」「学習方法を改善できるか」が大切です。ここは教材の中で、いろいろやってい(き)ます。

 他のサービスは、「予備校や塾のリプレイス」という頭があるので、どちらかというと「点数が伸びやすい層」or Over の子が学びやすいんだろうなぁと思ったりしています。でもそこって、学力や進度のばらつきはそんなになくて(さらに上の層はまたばらつくんですが)、個人の家庭や同質性の高い塾利用にはいいんですが、学校や学習支援の場で、集まって使う意義ってあんましないのかなと。

やはり「うちの子は動画を(長さ的に)見切らない」と聞くんですが、多くの子は「問題を解いて、わからなかったら動画を見る」というフローをとります。で、勝手に必要な部分だけ見ます。所詮教材なので、それだけで学習を完結したり、決まった完璧な使い方を求めないようにしましょう。

 

 ここまでお話しすると、「eboardで学力上がるの?」の答えに納得して頂くことが、ほぼ100%です。上げるには、段階的に、時間をかけてやってかないといけないけど、「eboard使うと、こういうことできますよ」「ここがeboardの特徴ですよ」という話。これまでの話って、「データ」とか「エビデンス」の話ではなく、「ロジック」の話、合理的な話です。

あとは使ってみて、子ども達に合えば使ってください。合わないなら、この教材どうですかー?そもそも、取り組みのねらいはどんなとこですかー?という話です。

 

 そんなeboardの活動は、皆様からのご支援により、支えられています。特に、只今つらつらと書いたような(今回はごく一部)eboardのノウハウをよりたくさんの現場に届けられるよう、研修をeラーニング化するらしいです。しかし、そのためには、お金が足りないので、先日より、クラウドファンディング(寄付プロジェクト)しているとのことです。

 

皆様からの応援、ご支援お待ちしております。

camp-fire.jp

【イベント】NPO法人代表中村からのスピーチ全文

 本日はお忙しいところ、NPO法人eboard3周年イベントにお越し下さり、誠にありがとうございました。遠くは関西、島根などから私たちの活動をご理解頂き、応援してくださる方々にお集まり頂くことができました。感謝とご報告、また次への決意の場を、こうして持たせて頂けたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。

NPO法人eboard3周年記念スピーチ(代表理事中村孝一) from eboard on Vimeo.

 3年前の12月5日、eboardはNPO法人になりました。動画をアップロードし、eboardという学習サイトを始めた日から1年以上が経過していました。そこから得られる収入はなく、私は前職での貯金を食いつぶし、家庭教師や塾講師を掛け持ちしながら、有り体を言えば、自分のわがままをやっていただけなのかもしれません。思いだけが先行し、団体としても個人としても、道は開けていませんでした。


 しかし、その同じ年の夏、1件のメールから新しい取り組みがスタートしていました。人口6千人程度の小さな町。島根県吉賀町。この町の教育委員会で、4月から学習支援にチャレンジされていた、私と同い年の方からのメール。財源もない。人もいない。そんな中、「eboardを学習支援に使えないか」と連絡を頂いたのが始まりでした。スタッフの熊谷と、夏休みの1か月教員宿舎に泊まり込みながら、サポート、モデルづくりに当たりました。

—中学生が自分たちの作った動画やサービスで、学校で、学習をする—

放課後の学校とはいえ、学校とは縁がなくなっていた当時の私には、イメージしがたいものでした。「本当に、eboardで学習の場を作れるのだろうか」と。

 

 ところが、そうした不安を生徒たちは、ぬぐい去ってくれました。取り組み開始から1週間後、「中村さん、全部終わったで」と、ある男の子が中学数学の全単元の履歴を見せにきてくれました。生徒によってばらつきはあれど、人的に限られたサポートの中で、それぞれが自分のペースに応じて学んでいくことができる。「自分のやってきたことは間違ってなかったのかもしれない。まだその可能性をあきらめたくない」。ふらつきながら、ようやく1歩を踏み出せた気がしました。

 

 もちろん、たくさんの失敗もありました。無数の試行錯誤がありました。翌年も毎週のように兵庫から吉賀町に通いました。毎週担当者の方とスカイプで議論し、時には教育委員会に泊まり込み、パソコン教室で生徒の前でサイトを更新し、そうして1回1回を作ってきました。eboardという教材を作ってきました。現場でのモデルを作ってきました。— 正しくは、多くの方の力を借りて、一緒に作って頂きました。

 

 そして、その中から、eboardという団体が、私たちのミッションが生まれ、育ってきました。「学びをあきらめない社会を実現する」というミッションです。3年前、これを団体のミッションとして掲げ、法人化しました。それは私たちの目指したい社会の姿でもあり、同時に「あきらめちゃいけない」「あきらめられない」という自分たちを支える、力強いスローガンにもなりました。

 


 もしかすると、みなさんは、吉賀町の子、島根の子、田舎の子は、都会のような刺激もなく、塾にも行けず、恵まれていないと思うかもしれません。「格差の被害者」だと。 
 

 今年の夏、吉賀町の隣益田市の真砂という小さな地区に伺いました。ここにも、去年から公民館や地域の方がサポートにあたる、eboardを使った中学生の学びの場があります。真砂地区に伺う最後の日、中学生1人1人が、「真砂のいいところ」を発表してくれました。都会の子のようなプレゼンテーションスキルはありません。身振り手振りもありません。きれいなスライドもありません。
 

 しかし、そこには、真砂でしか得られない一人一人の経験がありました。ストーリーがありました。何より、強い「思い」がありました。今まで聞いてきたどんなプレゼンテーションよりも、感動しました。
 

 なんとかお礼にと、私も涙ながらに、生徒たちに伝えました。「地域でも、家族でもいい。みんなのように、自分が大切だと思えるものがあるのは、素晴らしいことです。かけがえのないことです。それを守り抜ける大人になってください。そのために、学んでください。力をつけてください。私たちeboardやお家の方、地域の方、先生方にとっては、みんなが学び、成長していくことが何より大切なものです。私たちがそれを守ります」
 

 彼ら・彼女らの可能性を、学びを、あきらめたくないと、決意を新たにできた瞬間でした。私たちeboardと、そのミッションは、多くの方に、何より子ども達自身によって、支えられてきました。

 

 

 子ども達を取り巻く様々な課題。子どもの貧困。不登校。地方の教育。私たちは、この課題を乗り越えることができるのでしょうか。
根拠のない理想を語る気はありません。残念ながら、全ての課題をなくしてしまうことは難しい、不可能でしょう。労働人口が減り、経済成長に限りが見える中、次の世代に当てられる資源は限られています。これからますますこの国が力を失っていく中で、私たちに残された時間は多くありません。国民と同じく国が老化していく中で、体力のあるうちに、次の世代へと引き継げる国づくりをしていかなければなりません。
 

 今の日本が様々な病魔に蝕まれているとするならば、病気に対する「治療」が必要です。しかし同時に、病気とつきあいながら、それに負けない免疫力の高い、強くしなやかな体を、社会を、作っていく必要があります。まだ体力の残されているうちに。そして、来るべき時に備え、新しく芽吹くための「種まき」が必要です。それを担うのが、教育であると、私たちは強く信じています。
 

 お金がない。人がいない。塾がない。学校に行けない。たとえ、どんな環境にあっても、子どもたちが「学んでみよう」と思ったとき、子どもたちの学びを「支えたい」と思ったとき、「いつでも、どこでも」それが実現できる。それが、私たちの目指す「学びをあきらめない社会」です。

 


 私たちは、I CTの力を使って、次の時代の「学びを支える土壌」を作ります。それは病気への特効薬ではないかもしれません。流れる血を止められるものではないかもしれない。ただ、時には病気を未然に防ぐ「ワクチン」になり、またある時には怪我からの回復を早める「栄養」になります。

 「いつでも、どこでも」自分のペースで学べる教材は、日々の学習のつまずきや遅れを減らし、支援のノウハウを学べる研修は、先生や地域、現場の方のサポート力を高めます。そうして培われた「学びを支える土壌」があれば、インターネットを通して、限りない学びの機会を、次の世代への「種」を、まいていくことができます。残りすくない時間の中で、この「学びを支える土壌」を作れるかが、私達に与えられた課題であり、ミッションです。

 

 今日お越しいただいた皆さん、またこの話を聞いて頂いた皆さん、1人1人にお願いがあります。どうか、私たちのミッション、現場の方とつくりあげ、子ども達に支えられてきたこのミッションを、一緒に支えて頂けないでしょうか。「学びをあきらめない」という思いを、私たちと一緒に、少しずつ背負って頂けないでしょうか。
 

 法人化から3年。組織の規模はそれほど変わりませんが、私たちeboardは大きく成長することができました。前が見えず、不安で、今にも倒れそうだった団体は、多くの方に前を照らして頂き、一緒に歩んで頂き、時には背中を押して頂き、やっと歩くことができるようになってきました。組織としては、まだ歩き始めたばかりですが、胸には「学びをあきらめない」という強く大きな思いを秘めています。
 

 しかし、私たちeboardができることには、限りがあります。1人で背負うには、子ども達の未来と可能性、そして私たちのミッションはあまりに大きい。そして、独り占めするには耐えがたい、最高にエキサイティングで、魅力的なものです。想像してください。子ども達が、インターネットを通して無限の学びにつながり、それを身近にいる大人も、一緒に学びながら、支えられる社会を。「学びをあきらめない社会」を。

 

 スピーチの最後にこれまでご理解・ご支援頂いてきた方々に、もう1度お礼をと思ったのですが、それは子ども達から、ぜひ受け取って頂きたいと思います。ともに、これから、「学びをあきらめない社会」を目指していく中で。
私からは、本日のご来場と、私の長い話にお付き合い頂いたお礼まで。本日は、誠にありがとうございました。

 

eboardでは、現在クラウドファンディングに挑戦しています。応援のほど、宜しくお願い致します。

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【イベント】eboard3周年イベントのご報告

こんにちは。NPO法人eboard職員の漁野岬です。

12月11日(日)、東京にて「NPO法人eboard 3周年イベント」を開催させていただきました。私から、そのご報告をさせて頂きます!

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忙しい年末の、さらに日曜日にもかかわらず、80名以上の方々にお越しいただきました。お越しいただいた方々、本当にありがとうございました。

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eboard団体紹介

ということで、まずはお越しいただいた皆さん同士で、自己紹介をしていただきました!!

え?団体紹介じゃないの??

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というのも、eboardはNPO法人として、企業、学校・教育委員会、行政、学術関係団体、他のNPO団体などなど、様々な分野の方と協力して事業を進めています。どんな方がこの会場に来ているのかを知ることで、eboardという団体を知っていただきたいと思ったわけです。

 

ぶっちゃけトークも聞かせていただきました!これは、会場にいた人だけの秘密ですね♥

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eboard設立からのあゆみ

2011年に設立したeboard。2013年に法人化し、今年で3周年を迎えました。ただ動画を作成してアップロードし、再生回数も月26回だったはじめの頃から、今では10,000,000回再生されるようになったeboardの映像授業。会場では、昔の動画と今の動画を比較してみました。

▶︎ 過去の動画、、、真面目っ!!画面に動きもないので、眠たくなっちゃいますね。

 

そして、島根県吉賀町から始まったeboardの活用現場も、今では約100拠点となり、多くの子どもたちに学習の機会を届けられるようになりました

 

eboardは、できない子に、『できない、できない』って言ってるよね。
以前、学術的なサポートをいただいている、東京学芸大学の森本先生から言われた言葉です。

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最初は、ICTでより効率的に学べることがいいことだと考えていました。でも、現場に行って、子どもたちの学びに寄り添う中で、eboardとしての『学び』に対する考え方も少しずつ変化してきました。

 

現在は『自ら学ぶ力』を身につけることを目指して、教材の開発および現場への研修を行っています。特に、以下の3つの領域で、取り組みを行っています。
① 子どもの貧困と教育格差
不登校と学び直し支援
③ 人口減少と地理的格差

定時制高校での学び直し支援に取り組まれている、山下先生から学び直しの取り組みについてお話を伺いました。

▶︎ 私は去年、ボランティアとしてこの定時制高校に関わっていました。苦手な教科にも向き合うようになったり、きちんと考えながら学習する範囲を選ぶようになったり。学びとの向き合い方の変化や成長が、すごく嬉しかったです。

 

『自ら学ぶ力』を身につけるためにどのような支援が求められるのか、これからも現場の方と一緒に考え、より良い支援を提供できるよう取り組んでいきたいと思います。

 

eboardこれからの展望

「学びをあきらめない社会」の実現に向けて、これからのeboardの取り組みを2大発表しました!

① 2017年4月より、公立学校・学習支援現場向けに無料アカウントプランの提供を開始!
全国の学びの現場での取り組みを広げていくため、300校(2017年度)を上限に、全国の学校・教育機関(公立校、教育施設)や学習支援(NPO、ボランティア団体)を対象に 無料で eboardアカウントを発行致します。2016年12月より、お申込受付を開始しました!

お申し込み:https://eboard.zendesk.com/hc/ja/requests/new

学習サイトeboard:https://www.eboard.jp/

 

② クラウドファンディングをスタート!
クラウドファンディングページ
https://camp-fire.jp/projects/view/16265
2017年4月から、全国の学校・学習支援団体向けに無料アカウント発行をスタートするとともに、これまでeboardが行ってきた現場でのサポート・研修を一部オンライン化して提供していきたいと考えています。オンラインで手軽に学習支援について学べるようになることで、多くの現場でスムーズに学習支援のスタート、改善を行っていける環境を作っていきたいと思っています。
そしてその資金調達のために、昨日よりクラウドファンディングに挑戦しました。

 

今回のクラウドファンディングでは、オンライン研修の開発および、大学の先生方と連携してより専門的な研修を作成し、検証を行っていくために、150万円の資金を集めたいと思っています。

 

より多くの子どもたちに学習の場を届けられるように、皆様のお力をお借りできましたら幸いです。ぜひお知り合いの方などにも、eboardの活動をご紹介いただければと思います。
ご支援どうぞよろしくお願いいたします。

 

スピーチ

eboard立ち上げから、ここまで育て上げてきた苦労 や 子どもたちへの思いに、胸が熱くなりました。いまのeboardの取り組みや、「学びをあきらめない」というミッションが、代表中村のどんな思いから生まれてきたのか、お越しいただいたみなさん、そしてeboardのスタッフの心にも、しっかりと届いたのではないでしょうか。スピーチは、別途全文を掲載させていただく予定ですので、、、お楽しみに。

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■本日の学び

80名以上の方にイベントにお越しいただき、大きな会場が人でいっぱいになりました、、、皆様のご支援あっての活動なのだと、改めて感じました。職員2人で心細くなる時もありますが、応援してくださる方々が大勢いるということが、とても心強く感じました。

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「学びをあきらめない社会」は、eboardのスタッフだけの力では実現できないかもしれません。でも、皆様がeboardのミッションや活動に共感していただき、共に課題に立ち向かってくださること、背中を押していただけることが、大きな力に変わります。大きな流れに変わります。
eboardスタッフ一同、頑張ってまいりますので、これからもeboardの活動への応援よろしくお願いいたします。

 

<おまけ>

イベントにお越しいただいた方に、eboardステッカーをプレゼントさせていただきました。私は愛用のMac Book Airに、こんな風に貼ってみました!パソコン作業中は、『いーばーど』が光ります!笑

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イベントにお越しいただけなかった方、、、
クラウドファンディングのリターンとしても、プレゼントさせていただきます!
クラウドファンディングページ
https://camp-fire.jp/projects/view/16265

イベント中、「アイテムで釣るなんてクソだ。」って、言っていた代表に、怒られそうや。。。

学びは「個」が起点になる(一斉指導の困難さ)

Facebookの過去のこの日(on this day)という機能、ご存知でしょうか。今日は、2年前のこんな投稿が出てきました。

島根県に通った日々

懐かしいです。。。ちょうどこの頃は、教員志望だった社会人インターンと交代で、週末に兵庫から吉賀町に通っていました。前日に兵庫から広島まで移動して、漫画喫茶に泊まり、翌日の高速バスで吉賀町に行くという…(吉賀町は鉄道は通っていません)この頃は体力的に大変でした。 

おかげさまで、たくさんのトライ(とたくさんの失敗)をさせて頂き、現在では島根県内だけで、6自治体で eboard を活用した放課後学習の取り組みを実施させて頂いています。いつも御世話になっている島根の皆様、本当にありがとうございます。

 

一斉指導から始めることの困難さ

このFacebook記事にも出てきているのですが、かつては「特別授業」ということで、eboardを活用している現場で、特に定期テスト・受験対策などの「授業」をすることがありました。いわゆる講義、一斉指導です。

元が小規模校なので、中学生10名弱に授業をするのですが、これがむずい。私の力がないのかもしれませんが(でも解説してることは、動画と同じです)、10名弱でも、開始して10分程度で「理解の差」を感じるんですね。

ある子は、もう十分に理解していて、退屈気味。中間層は、内容・進度がぴったり。学力的にしんどい子は、理解に穴が空いているのを感じます。説明しつつ、サポートしつつ、そこを埋めようとするんですが…まぁ「じゃあ、自分のペースで動画見てみようぜ」と言いたい!

結局、最初だけ講義をして、あとはeboard で、、、いつも通りの個別学習になりました。。。

 

学びは「個」が起点になる

一度、学力や進度にばらつきがある環境で、授業されたことがある方はわかると思うのですが、その集団に「同じ内容を、同じペースで、同じ伝え方で理解してもらう」って、非常に難しい。特に、学校の教科は積み上げが必要なので、中には、2〜3年前の学習内容も身についていない子もいれば、パッと教科書見てすぐに分かってしまう子もいる。

「知識・技能の習得」であれば、それは「個(人)」に落ちるものなので、学びは「個」が起点になるはず(個人的には、思考力や表現、コミュニケーション力なども「個」が起点では?と思っていますが…それがあって、他者があり、知識が構成されていくという…)。それが、近代に成立した学校教育制度から変化が起きておらず、現行の学校や授業が同質性の高い「集団」が起点になっています(もちろんそうでない学校、授業もたくさんあります)。

 

アクティブラーニング、ICT授業に感じる違和感

以上のようなことが、島根や全国の現場に伺わせて頂きながら、私が感じて、学び、実践してきたことです。でもどうやら、昨今のアクティブラーニングやICT導入授業を拝見していると、「私の考えは異端なのかな」と思うことがあります。

あくまで授業は、先生を中心に「一斉」に進み(みんなが決められた時間に、決められてことを、決められてようにやる)、そのアドオンとして、「協同学習」や「プレゼンテーション」があるような。「個別学習」に至っては、「古い」「よくない」のような考えを持たれていると感じることさえ、あります。

(そりゃあまぁ、ドリル教材で、ホイホイ出てくる問題をしこしこひたすらやってるんだったら、古くて、よくないと思いますが。古くて、よくないのは、その学習に対する捉え方。教材の使い方。)

 

ここについては、いろんな考えがあるのかもしれませんが、じゃあ「個別」と「一斉」と「協同」で、学習効果(もう学力テストの点数とかね!ここで測る指標ちゃうね!)はどれくらい違うんだ?とか、うんこみたいな話も出てきそうですが、自然に考えれば分かることかなと思います。

聞いていても全然わからない・分かりきっている話を聞く授業よりは、自分の学力や進度・やり方にあったもので学んだ方がいいのは、合理的にわかります。以下の苫野先生の本などは、もっときちんと、柔らかく説明してくださっているので、疑問に思われる方は、ぜひご一読を。

公教育をイチから考えよう

公教育をイチから考えよう

 

 

子どもの貧困、不登校や地理的課題など、いろいろな環境で学習に課題を抱えている子がいますが、「学習す(べき)内容」が社会に合わせて変わっていく中で、長期的な本質的な解決策は、学習を「個」に還し、その子が学び抜く力、環境を支え抜くことだと思います。そこを起点として、学び合いや協同学習があるべきと、私は思います。

ICT、eboardという武器を持って現場に行くと、そのための「個の学習」をエンパワメントできるツールだと感じます。まだまだできることは少ないですが、島根県ような取り組み、全国に広げていきます。

 

学習サイトeboardとその活動は、皆様からのご支援で成り立っています。

全国の子ども達の学びへ、応援よろしくお願いします。

夢がなくなる時代の進路指導

トランプさんが勝ちましたねーびっくりでした。ただ、社会の分断をどのような形であれ、表現できるアメリカという国は、うらやましいなと思いました。日本は、今の政治や経済、社会に対するしっかりとした代替案とその表現方法を持ち合わせてないなぁと感じます。

 

さて、今日は先ほど関空から関西に入りました。今月は、移動が多い…小腹が減ったので、空港内のマクドナルドに行ったのですが、こんなものが。

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そう。タッチパネルで、注文ができるんです。これって、東京でありますかね。「これなら日本語以外にも対応できるし、いいねー便利ねー」なところなんですが、個人的には「ここにも!」という発見。

 

ここにも!=「ここにも、仕事がなくなるところが!」

最近歩きながら、「なくなる仕事探しゲーム」をしてます(昔から、オペレーション効率化できるとか、回転率もっと上げれるとか、そういうことを店に入ると考えてる子だったんですが)。これを見て、「ここにも、仕事がなくなりつつあるところが!」と思ったわけです。

「これあったら、店員さんいらないよねー」と。しかも、他言語対応、音声対応、クレジット払い(現状は対応してなかった)、話題のiPhoneスイカ払いとか、ずっと便利。実はアメリカでは、少し前から導入が進んでいたようです。

www.newsweekjapan.jp

この記事内では、

「無人注文機の導入は必ずしも従業員の削減につながっていない。アメリカの老舗ハンバーガーチェーン、ホワイト・キャッスルではオハイオ州コロンバスに無人注文機を設置したが、店舗の従業員数は変えていないという」

とあるんだけど、資本主義の名の下の効率化の圧力は、容赦なく人をカットしていくし、これはカットされていいとこと思う。日本のサービス業の業務効率も改善するんではないでしょうか(教育に関しては、人的コストカットには反対です。それはまたいつか書こう)。

これに対して、「いや、人がいないと何かあったら…」とかいう人がいるんですが、人は最低限いれば良いです。わかりやすいのが自動改札で、駅員さん何人かいて、事足りてますよね。個人的には、よく知らない店員さんと喋るよりパネルがいいです。

 

夢がなくなる時代の進路指導

「10年でなくなる仕事」が言われるようになって、しばらく経ちましたが、教育の分野は、相変わらずな感がまだまだあります。

gendai.ismedia.jp

「お母さん、お花屋さんになりたい!」「私、海外で仕事したいから、高校は英語科に行くわ」「夢は美容師。高校卒業したら、専門学校に行きます」

とかっていう「夢」が、その子が社会に出た時、またそこから数年経った時に、普通になくなっちゃってることが大いにあると思います。少なくとも、雇用や働き方には、大きな変化が起きる。「いやいや、そんな早くに変化しないよ」と言われそうですが、変化のスピードは、どんどん速くなってます(ちゃんと遡って、技術の登場と社会変化のタイミングを追ってくと、余裕言ってられないのがわかる)。

その時に、今の学校の進路指導って、あまりにも考えてなさすぎだろう…と思ってしまう(学習支援というところでも、「まずは公立高校、大学に」っていうのはすごく理解できるし、全く否定しないし、そこを応援したいのですが、一方でそれだけでは十分ではない時代だと思います)。

〇〇大学に入ってれば安泰、〇〇会社に入ってればOK、とりあえず手に職を…とかでは、対応できない。厳しい!

 

じゃあ、どうすんだよ?と言われるとまだ答えは持ち合わせてないですが、eboardとしては、やはり「自ら学ぶ力」「学び続ける力」を、現状の学力の如何に関わらず持ってもらうのが大事だと思っています。そこを伸ばしてあげたい。変化に対応するには、学び続けるしかないです(変化についていかない、という選択もありと思う)。そうすると、「学習」と「キャリア」って自然と結びついてくるんじゃないかと、最近感じます。

 

まとまらないですが、皆さんも、「なくなる仕事探しゲーム」してみてください。でもこうした、「技術の登場と変化」を見れる機会が少ないっていうのは、やはり地方の教育リソースの欠点かなとは思います(それ以上に良いものがあるけど!)。島根では、さっきの改札の例も通じないかも。技術の恩恵について、頭でわかってるのと生活圏で日常的に触れるのは違う。

news.nifty.com

 

 

 

余談ですが、この店ごとのこのでかいパネルは、そのうちなくなると思う。過渡期の産物かと。あらゆる種類の飲食店に、このパネルが今の店員さんの業務を裁ける分設置されるはずがない。ので、事前予約とかもできるようなアプリになるかなと。でいろんな飲食店のアプリがそのうち決済やポイントの提供会社の元にデータ統合されて、レコメンドとか来るんだよ。挙句の果てには、「油の摂りすぎです」とか言うんだよ。

 

…通知オフだ!

【現場訪問記】公営塾って?@島根、岡山

なかなかブログをコンスタントに書き続けるって、大変ですね。もちろん仕事としても意味があると思って書いていますが、仕事忙しい中続けられている方、尊敬です。 

さて、今週は島根県岡山県の公営塾、放課後学習の eboard 研修・サポートに伺わせて頂きました。前回と話が変わりますが、今回はこの「公営塾」というものに焦点を当てたいと思います。

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研修と言うよりは、自分は事例やフレームワークを紹介して、考え、話し合ってもらいました。

「公営塾」とは

そもそも、「公営塾」って何でしょう?まさに今週伺った島根県などの地方では、この言葉を聞くことが増えてきました。一方、東京の方にはよく「公営塾って、何ですか」とストレートなご質問を頂くことが多いです。ごもっともと思います。私も島根に関わらせて頂いた3年ほど前まで、知りませんでした。

そこで、今回は私の知りうる範囲ですが、公営塾を中心に、一般的な、できるだけニュートラルな説明を試みたいです。

島根県の取り組み

おそらく「公営塾」という言葉が広く認知されたのは、島根県海士町隠岐島前高校」の公営塾(隠岐國学習センター)、高校魅力化プロジェクトの取り組みではないでしょうか。

berd.benesse.jp

ここでは、私からの説明は適切でないと思うので、詳細は割愛させて頂きますが、思い切って一言で言ってしまうと、「入学者が激減し、廃校の危機にあった高校が、公営塾の設置など高校魅力化の取り組みを通して、入学者を増やし活性化した。さらに、その教育における変化が、地域全体に広がり、地域活性化にも効果をもたらした」というものです。

もちろんここには、一言では全くすまないプロセスがあり、私はそれについて語れないので、よければ書籍などご参照ください。

未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦

未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦

 

 そこから、高校魅力化のモデルを広げようと、島根県でも後押しをして、島根県内の中山間地域の高校魅力化がスタートしました。これが2012、13年ごろからでしょうか。また、総務省の地域おこし協力隊の制度を活用して、教育に取り組む若い方が、こうした地域の学校や教育現場に関わるようになりました。こうした中山間地域も、同じく入学者減少や廃校の課題を抱えていたからです。

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↑の図は、私なりに中山間地域での教育の現状をまとめたものです(本当は、こんな図でまとめるほどカンタンではないですが…)。

「学級内の学力階層化」書いているのですが、「固定化」の方が良いかもですね。1学年1クラスの学級が、小学校(複式のケースも)から中学校、場合によっては高校まで続き、公立入試も倍率割れする状態で競争意識は働きづらく、「私は勉強できないもんだ」というのが固定化してしまう傾向にあります。

「島根の教育は、元気ですよねー」と言われる方が多いのですが、こうした危機感、そして海士町というモデルを、学校や地域、行政が持っているというのが、元気な理由と言えるのではないでしょうか。さらにそうしたモデルが、今全国の離島・中山間地域に広がってきています。

 

公営塾のジレンマ?葛藤?

ただ、上記のような成り立ちによる公営塾は、構造上いくつかのジレンマを抱えているなと感じることがあります。実際には、そんなところを気にせずに「町の子にいい教育を」と取り組まれている方ばかりですが、ふと気になる時や、ここについて苦労されているのを感じる時があります。

  • 高校は県立、公営塾は町立。

高校というのは、県立です。県教委の管轄です。なので、原則先生も予算も県から割り振られています。公営塾特別予算が、ドカンと特定の高校にのみついたりはしません。つまり、公営塾をやろうと思うと、町民の税金から町予算でやることになるわけです。「町の子が通う高校を、どうにかせんと」となると動き出す訳ですが、一方で、本来町が予算を割く小中学校(町教育委員会の管轄)もある訳です。実際に、中学生を対象に「公営塾」を開設されている自治体も多くあります。

  • 学力を上げると、町外に出てしまうのでは…

これは、特に中学の公営塾に言えることかもしれませんが、町外の高校に進学する子は、主に「やりたい部活動が町内高校にない」「学力をより高めたい」子です。中学の公営塾で学力が伸びると、「私は町外の高校でもっと学びたい」となる可能性もある訳です(実際にはあまり聞かないけど…)。また高校でも、都市圏への大学進学実績は、高校の魅力化にもつながりますが、理想としては、そうした子に町の担い手として帰ってきてほしい。学力だけ上げる予備校では、ダメなわけです(ここの考え方には、賛否両論あると思います。個人的には、10年後・20年後のより厳しい環境で担い手になるというなら、外で大いに学んで、超優秀人材で帰ってこないと厳しいと思う。町も、その子も)。

  • みんな(全部の高校)は魅力化できない。

「魅力」は相対的なものです。特に、高校生や保護者にとっては、行ける学校は1つなので、必然的に「AよりBがいい」の形でしか「魅力」は表せません。同じパイである以上、みんなは魅力化できない。「じゃあ、どうするんだよ」という質問への答えは、自分は分かりません(島根の方、話したいです)。競争原理でことが進むのでしょうか。

 

お前(eboard)は、どういう立ち位置なんだ?

最後に、、、島根に通わせて頂くようになった最初の頃は、こういう風な発言をよくくらいました。ぐはっ。「中村くんは、〇〇町にも行っとるそうやけど…」「なんや、君は〇〇町のためにやってくれとるんちゃうんか」など。

申し訳ないですが、微塵も理解できません。

いいものは発信すべきだし、共有すべきだし、だからこそ魅力になるのではないでしょうか。実際にeboardの活用について、他の自治体からの視察を受け入れて頂けるところは、その良さが外に伝わっていきます。ですが、島根の素晴らしいところは、もう「いいものを共有していこう」という文化ができつつあるところです。自治体の横のつながりが強いなと思います。最近変なこと言われない!

 

では、私たちは何がしたいのか。eboardが実現したいこと。現場の研修でもお伝えしますが、

「学びをあきらめない社会」を実現すること

です。「自分の力で学ぶ」「学び続ける力」を持って社会に出てほしい。そこにどこの町の子だとかは、全く関係ない。また、それは子ども達に最低限保障されるべきもので、全国にあまねく広げていかねばならないものです。現場の方々と、目の前にいる子へ、教材や研修・サポートを通して、社会や環境の変化にも耐えられる「仕組み」を作っていく必要があります。

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かなり長くなってしまいましたが、中山間地域の現場に伺うときは、本当にその意義を感じます。これまで学校での勉強にしか触れてこなかった子が(学校での勉強が悪いとかいう意味ではないです!)、ネットを通じて、学びにアクセスすることができるようになります。そうしたツールがあることで、放課後学習の取り組みを、地方でもスタートすることができます。その差分のインパクトは大きい。個人的にも、地方に行くのが大好きです。

 

しかし、今週の現場で一番面白かったのは、

「この動画つくってる、日本語うまい関西弁の外人ってどんな人?」と中学生に聞かれたこと。教育委員会の方と一緒に、「ガリガリの毛むくじゃらの人。今度連れてくるわー」と言っておきました。こういう子ども達にとっての出会いのインパクトも、大きいなと感じます。

※ 動画のほとんどは、その質問をされた純日本人の私が作っています。 

 

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