ICTで学力は上がるのか?

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 今週は、九州と関西をいったり来たりの一週間でした。東京もですが、町はクリスマスですね。個人的には、博多駅界隈のイルミネーションが、立地面等も鑑みて、一番良かったです。

 

ICTでテストの点数は上がるのか?

 さて、今回のテーマは「ICTで学力は上がるのか?」。全国色々とICTを導入されている自治体・教育委員会、学校に伺うと、ここがテーマになるようです。私も「eboardやって、学力はどうなの?」って質問されます。そして、これはごく普通のご家庭でも(「タブレットで学力は上がるのかしら?」という問い)。

 ここでは、「学力の定義は何ですか?」とか「いや、その問い自体が良くないのだよ…」という話は(これはとても大切な話ですが)置いておいて

「学力=テストの点数」

として考えたいと思います(不本意ではありますが)。自治体・教育委員会、学校で、「ICTで学力は上がるのか?」と問われたときには、ほぼ100%これを言われています… 今までは、「それは何をねらいとして、どのように使うか、どれくらい取り組むか次第ですね」と答えてきたんですが(それが正しいと思っています)、微妙な反応をされるケースが多い(「いやぁ、アゲアゲですよ!もう毎日1時間やったA校では、学力テストの平均点が20点あがりましたよ!」とか、汎用性のなさそうな、無責任なことを言えばいいんでしょうか…「それなら使いましょう」という人は、最初から取り組みの意義や授業のねらいを見直したほうがいいと思いますよ!)。

 

 とはいえ、きちんと伝えねばなので、最近図を用意しました。これが一面的であるにせよ、教育委員会や現場の方、また企業の方にもわかりやすいと好評です(でも、一面的で直線的なので、この図の問題点も考えてほしい)。

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意欲の壁、さかのぼりの壁、学習量・対策効率の壁

 この図は、学力と意欲の段階を階段状にしてかいたものです。

が実際は、こんなにきれいな図にはなりませんし、特に、学習意欲や学習方法(スキル)は非常にばらつきがあり、いつも直線的な獲得ができるものではないと思います。

擬似的な理解を得るための、また人やICTの役割を整理するためのモデル図と思ってください。

① 低意欲層ー意欲の壁

 学習に対する意欲や肯定感が著しく低く、本物の(authenticな)学びの経験が乏しい。教科の指導力以前に、安心して話せる場づくりや関係づくり、また性格や特性の把握が必要なことが多いです。あくまでこれまでの学習経験から、一方的な指導が苦手な子が多く、コミュニケーションをとりながら、進めていくことで学び始められる子が多いと思います。

② 戻り学習層ーさかのぼりの壁

 授業に参加する、言われた指示通りに学ぶなどは、可能な範囲でできるものの、学校での既習内容にモレが多く、学校の進度(そんなものは なくせ!というのは置いておいて)についていけない層。また、そうしたモレや遅れが発生した要因として、学習方法に課題を抱えている場合が多い。それぞれの子によって差はあれど、個別指導塾や学習支援に来ている子で、数として一番多いなと感じる層です。「〇〇やってみようか」と言って働きかけると、とりあえずは手をつけられるイメージ。

 この層の子が、次の「点数が伸びやすい層」に行くには「さかのぼりの壁」を超える必要があります。ここでは、学校の授業に追いつけるように、A)既習範囲の穴を埋めていくと同時に、B)今まで消化不良を起こしてしまっていた学習を、きちんと消化吸収できる学習方法や習慣に改善していく必要があります。A)には意識が行くんですが、B)は見落としがち。B)ができてないと、進度とのイタチごっこになっちゃうし、そもそもペースが悪くて、Aの穴が埋まらないという事態に…

③ 点数が伸びやすい層ー学習量・対策効率の壁

 既習内容の定着が一定程度図られており、学習方法も身につけられている層。ってことは、やったら点数上がるんですね!ここまで来て初めて、「学力上がるの?」に体系的に応えられるようになってきます。

 中学3年部活が終わるまで、同じくらいの点数で変わらなかった2人の子が、同じように頑張っても点数が伸びるケースと伸びないケース、よくあります。理由は本当に細かく見ていくと様々ですが、「既習内容がしっかり身についていたか」「学習方法が身についているか」がやはり大きなポイントかと。テストの点数は直前に対策すれば伸びてしまうんですが、そうして学習に穴を空けてきたり、学習方法が身についてないと、量を増やした時にも差が出てしまいます。

 さらに高得点を、定期テストや入試でとろうと思うと、「学習量・対策効率の壁」を超える必要があります。85点以上くらいでしょうか。じゃあ、実際にここでは自分なら何やるか(塾で何やってたか)というと、これまでの作問する先生の定期テスト過去問をもらい、生徒に先生が授業で強調していたポイントをヒアリングします。何度も演習をさせつつ、出題傾向を見ながら、先生別対策をします。それでしっかり詰められる子は、100点に近づけます(そういうテストじゃない先生もいます!!)。意味あるのかなー。

④ その上の層

 これは、私はあまり関わりが薄く…笑 ただ、量質ともに良い学習が身についているのに、それ以上「狭義の学力=テストの点数」を伸ばさせて、これから何の役に立つのやらとも…それはまた別の話。変な応用とか、重箱すみすみとかせず、進度をどんどん進めるとかは、良いかと!

 

eboard(ICT)の役割

それでは、ここでのeboardの役割は何かというと、ズバリ

1つ目は「(学習内容と学習方法の)個別化」 です。

 これだけ同じクラスや集団でも学力や意欲に違いがある中で、同じ内容を同じ方法で、一斉に学ぶことは、はっきり言って無理があります。なので、中学・高校に行って一斉指導の授業に行くと、一定割合の子が「難しくてついていけない」し、「簡単すぎて退屈」しています。自分が授業してもそうしますが、一斉指導でマスをねらうと(できるだけ多くの子の期待に応えようとすると)だいたい「点数が伸びやすい層の下限」をメインに授業します。

 それを「自分のレベルやペースで、自分のやり方で学べる」ように、低コストでやってしまえるのが、「ICTを活用した個別学習」です。これ、自分はプリント教材でやったことがあるのですが、紙でやると全生徒の進度とレベルを想定し、あらかじめ予備分も含めて、プリント印刷しないといけないんですよ…まぁ続かないし、広がりはないです。環境破壊。

 そして大事なのは「学習方法」も個別化すること。ある子は、動画で学びやすい子もいれば、テキストの方が認知的に理解しやすい子もいる。試行錯誤的に学ぶ子もいれば、きちんとインプットした上で学びたい子もいる。コミュケーションとりながら学びたい子もいれば、黙々とやりたい子もいる。それを尊重することです。そうすることで、いろんな方法を試しながら、自分が効果的に学べる方法を身につけていく必要があります

 なので、学習フローが1つに制約された教材や、他の教材の使用を認めないやり方は、その理由だけでよくないです。皆同一学習方法至上主義なら別ですが(こわいこわい)。「うちの教材がベストで、あらゆるものをカバーしているんで」とかいう話を信じちゃいけんです(それを決めるのは、あんたじゃなくて学習者だよ)。

 

そして、2つ目は「支援・指導(層と内容)の変化」です。

 「(子ども達が)学習する場所をつくろう」となると、なぜか、みなさん「でも、どうやって教えるの?」ってなるんです(まぁでもそうですよね)。「教える=学習指導・学習支援」が、おそらくこれまでの教育経験の中で、できあがってるんです。

 でも、人や教材、指導方法など準備大変ですよね。。。めちゃコストかけないと、例え「マンツーマン指導環境」でも、個別化することできないです。かつ、「マンツーマン」でやると「自立的に学ぶ方法」は、指導者がかなり意識してないと身につかないケースが多い(そのレベルの指導者育てるの大変)。教えるの、楽しいもん。生徒も楽しそうだし。中毒性あり。

 そこ(教える)を、ICTに(委ねられるところは)ゆだねましょう、というのが「支援内容の変化」です。教えるのではなく「学習者が学ぶこと」を支援する。そこに時間と労力を割くんです。かつそれは属人化しにくいので、仕組みとして現場に残るものになります。と同時に、自立的に学習ができるようになった層をICTに部分的に委ねつつ、最もサポートが必要な層に意欲面や方法面でのサポートを行います。

 よく「動画なんて、うちの子らは見ませんよ。やる子はやるでしょうけど」という方が」(なぜかドヤ顔で)いらっしゃるんですが、そこを「学習者が学べる」ように持っていくのが、あなたの仕事でしょう(もちろんそういう子がいるのは、重々承知していますが、全国様々な現場でやってますよ、と)。

べったりサポートし続けて、その子に永遠に伴走できますか?

その子が「自分で学ぶ力」を育てましょう。eboardが合えば使えばいいし、合わなきゃ別の教材使いましょう。ただし、常に教材は万能ではないので、同時にサポートの仕方もよくしましょう。

 

eboardの特徴

 以上、このブログを書いていると、どうしても気分が高まってしまい、ブロガーにはなれないなと思うのですが、上記のような中で、eboardの1番の特徴は、

低意欲層(上位)〜戻り学習層〜点数伸びやすい層(下位)が対象

であることです。

 中心は「戻り学習」です。つまり、勉強が苦手で、あまり学習方法や習慣も身についてない子が「学びやすい」教材を目指しています。それは、動画の内容や問題のレベル、学習のフローなど様々な点がありますが、同時に「どうeboardを使うのか」「どうサポートや場を作っていくのか」というノウハウに力を入れています。

 特に「戻り学習」層が個別化していくには、「自分でつまずきを解消できるか」「学習方法を改善できるか」が大切です。ここは教材の中で、いろいろやってい(き)ます。

 他のサービスは、「予備校や塾のリプレイス」という頭があるので、どちらかというと「点数が伸びやすい層」or Over の子が学びやすいんだろうなぁと思ったりしています。でもそこって、学力や進度のばらつきはそんなになくて(さらに上の層はまたばらつくんですが)、個人の家庭や同質性の高い塾利用にはいいんですが、学校や学習支援の場で、集まって使う意義ってあんましないのかなと。

やはり「うちの子は動画を(長さ的に)見切らない」と聞くんですが、多くの子は「問題を解いて、わからなかったら動画を見る」というフローをとります。で、勝手に必要な部分だけ見ます。所詮教材なので、それだけで学習を完結したり、決まった完璧な使い方を求めないようにしましょう。

 

 ここまでお話しすると、「eboardで学力上がるの?」の答えに納得して頂くことが、ほぼ100%です。上げるには、段階的に、時間をかけてやってかないといけないけど、「eboard使うと、こういうことできますよ」「ここがeboardの特徴ですよ」という話。これまでの話って、「データ」とか「エビデンス」の話ではなく、「ロジック」の話、合理的な話です。

あとは使ってみて、子ども達に合えば使ってください。合わないなら、この教材どうですかー?そもそも、取り組みのねらいはどんなとこですかー?という話です。

 

 そんなeboardの活動は、皆様からのご支援により、支えられています。特に、只今つらつらと書いたような(今回はごく一部)eboardのノウハウをよりたくさんの現場に届けられるよう、研修をeラーニング化するらしいです。しかし、そのためには、お金が足りないので、先日より、クラウドファンディング(寄付プロジェクト)しているとのことです。

 

皆様からの応援、ご支援お待ちしております。

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